AURELIO
大本 陽介
Chef
Interview
シェフインタビュー
手から手へ、
想いを受け継いだ鍋
「これ、もう20年選手なんです」と大本陽介さんが言う長年使い込まれたル・クルーゼの鍋は、かつて面倒見のいい常連客から「ひとつ持っているといろいろ作れるよ」と勧められて譲り受けたもの。前の持ち主が10年以上、大本さんも店のオープンとともに9年使い続けている。「新しいものを次々に買うより、長く付き合っていけるものを選びたいんです。使い込むほどに、自分との時間が刻まれていく気がして」そんな鍋は、毎日のまかない作りに活躍してきた。「みんなでひとつの釜を囲むように食べてます。何を作るにも頼りになる万能な存在です」使い込まれた鍋が、今日もスタッフとの食卓をあたためる。
焦げ目は旨みの輪郭。
一皿にコントラストを生む
「シンプルな料理ほど、鍋の力が試されると思います」そう語る大本さんの料理は、イタリアンをベースに素材の味を引き出す料理が持ち味。「たとえば、縁が少し焦げたりするじゃないですか。でもそれって逆に“味が濃くておいしいな”って思えるんですよね。やわらかい部分とのコントラストも出て、一皿の中にメリハリが生まれる。それが好きなんです」ル・クルーゼは、そうした“違い”がちゃんと残るという。最小限の手数で仕上げるからこそ、道具の性能が味に直結する。
道具が変われば、伝統的なレシピにも新しい風が吹く
中世トスカーナで生まれた黒こしょう煮込み「ペポーゾ」。もともとは大工や職人たちが、仕事の合間に牛肉を鍋に放り込み、火に任せてコトコト煮ていたという、素朴な郷土料理だ。「当時この料理を食べていた人たちは、まさか現代の僕たちが、こんな鍋で作っているなんて思いもしなかったはず。変わらないレシピに、新しい道具。それがすごく素敵だと思って、“100年遺したいレシピ”に選びました」
工程は驚くほどシンプル。でも「熱の回りが早くて、旨味を逃がさない」からこそ、仕上がりに差が出る。通常ならもっと時間をかけて煮込むこの料理も、ル・クルーゼならおよそ3時間。たっぷり煮込む満足感はそのままに、鍋の力でぐっと手応えのあるおいしさに。
第1弾レシピ
ペポーゾ
トスカーナの郷土料理「ペポーゾ」は、牛肉を赤ワインと黒こしょうで煮込む、力強くて滋味深い一皿。ワインとこしょうの鮮烈な香りが味の芯を作る。
使用製品
材料(3~4人分)
- 牛すね肉…500g
- 塩…7.5g(肉の重量の1.5%)
- 玉ねぎ…1/2個
- にんじん…1/2本
- セロリ…1/2本
- にんにく…1片
- 黒こしょう(ホール)…5g
- 赤ワイン…適量
- トマトペースト…小さじ1
- オリーブオイル…大さじ1
- 水…適量
作り方
下準備
- 牛すね肉に塩をまぶし、冷蔵庫でひと晩おく。
- 玉ねぎ、にんじん、セロリは1cm角に切る。
- にんにくは潰す。
- 鍋にオリーブオイルを中火で熱し、玉ねぎ、にんじん、セロリ、にんにくと塩ひとつまみ(分量外)を加えて、15分ほど炒める。
- フライパンにオリーブオイル(分量外:小さじ1)を中火でよく熱し、牛すね肉の表面に焼き色をつけ旨みを閉じ込める。
- 1.の鍋に2.の牛すね肉、黒こしょう、トマトペーストを入れ、赤ワインを肉が半分浸る程度まで注ぐ。フタをして中火にかけ、ふつふつと煮立ったら肉がかぶるくらいまで水を足す。
- 弱火にし、フタをして3時間ほど肉がやわらかくなるまで煮込む。
第2弾レシピ
バターライス
煮込み料理の付け合わせとして、北イタリアで親しまれているバターライス。ふんわりと香るオレガノと、仕上げのバターのコクがアクセント。
火の回りの良さを活かして、短時間でもきちんとおいしく
「北イタリアでは、よく煮込み料理にライスを添えて食べているんです」熱伝導が高く、短時間で炊けるル・クルーゼを使えば、そんな一皿も気負わず作れるという。「白ワインを少し入れると、香りが立ってより本格的に。バターはあと入れがコツ。香りが立ちやすく、焦げにくくなるんです」シンプルな白米も、ひと工夫で、煮込みと合わせても引けを取らない主役級の一皿が完成する。「バターライスは、昔から食卓にあって、料理を引き立てながらもしっかりおいしい。ル・クルーゼのようにずっと変わらず愛されてきたものだから、“100年レシピ”に選びました」
使用製品
材料(2合分)
- 玉ねぎ…1/4個
- オリーブオイル…大さじ1
- 米…2合
- 白ワイン…30ml
- 熱湯…360ml
- オレガノ(乾燥)…少々
- 有塩バター…20g
- 塩…少々
作り方
下準備
- 玉ねぎはみじん切りにする。
- 鍋にオリーブオイルを中火で熱し、玉ねぎがしんなりするまで炒める。
- 米を加え、10分ほど中火で加熱する。米に透明感が出てきたら白ワインを加え、3分ほど混ぜながら加熱してアルコールを飛ばす。熱湯とオレガノを加えてひと混ぜする。
- 沸騰したらフタをして弱火にし、11分ほど加熱する。
- 火を止めて11分ほど蒸らし、バターを加えて混ぜる。味をみて塩で調える。