料理家 平野 由希子 100年の「美味しい」を、 ル・クルーゼと。 料理家 平野 由希子

Chef

平野 由希子

平野 由希子 料理家

料理家・ソムリエ。料理教室&ワインショップ「cuisine et vin」主宰。製菓を学び料理家に。その後、渡仏しフランス料理を学ぶ。家庭料理をベースに、ワインに寄り添うおつまみや、季節の素材をいかしたレシピが人気を集める。『ma cuisine おいしさの引き出し方』など著書も多数。ル・クルーゼの愛用歴は30年以上。

Interview

シェフインタビュー

シンプルな料理に、
確かな道具を

平野由希子さんがル・クルーゼを使い始めて、もう30年以上。最初に手にした〈ココット・ロンド〉はいまも現役だ。「一つずつ買い足していくうちに30個ほどに。フランスの蚤の市で購入したビンテージも持っています」シンプルな料理を愛する平野さんの台所で、長年にわたって力を発揮してきたという。「素材の味をまっすぐに届けてくれるから、それだけで十分だと思えるんです。」何十年と使い続けるなかで、同じレシピでも驚くほど仕上がりが変わることに気づかされてきた。特別な手間を加えなくてもおいしさがきちんと浮かび上がるのは、信頼できる鍋があるから。

水が貴重な土地で育まれた、
調理の知恵を受け継ぐ鍋

「ル・クルーゼは、食材の水分を活かす構造なんです」と話す平野さん。水が貴重だったフランスには、素材が持つ水分そのものを活かして調理する知恵が根付いている。「完全密閉ではなく、少しずつ蒸気が抜けることで肉や野菜にやさしく火が入るんです」オイルと塩、野菜が渾然一体となり、素材本来の旨みがじっくりと濃縮されていく。この繊細なスチームコントロールが、料理の仕上がりに確かな違いをもたらしてくれる。

100年後にも遺したい、
料理の基礎

「エチュベのようなシンプルな調理法こそ、100年後にも遺っていてほしいと思っています」と平野さん。少量の塩とオイルで、野菜の水分を引き出すようにじっくり火を入れる。あれこれ足さずとも、丁寧に調理することで素材の旨みが引き出される、そんな料理の原点のような調理法だ。実際、平野さんは家にある野菜で毎日のように作っているという。「朝だったらオリーブオイルと塩だけで。バターに変えるだけでも印象が変わりますし、季節の野菜を一番おいしく食べられると思います。すべての料理に通じる、大切なことがこのレシピに詰まっています」

第1弾レシピ

野菜のオイル蒸し

少量のオイルと塩で蒸し煮にする「エチュベ」は、素材の水分を活かすフランスの技法。フタはなるべく開けず、ついた水滴も旨みとして鍋に戻すのがポイント。野菜一種でも十分おいしい仕上がりに。

使用製品

材料(2~3人分)

  • さやいんげん…12本
  • ブロッコリー…1/2株
  • グリーンアスパラガス…4本
  • ズッキーニ…1本
  • にんにく…1片
  • アンチョビ…2枚
  • タイム…2〜3枝
  • オリーブオイル…大さじ2
  • 塩、こしょう…各少々
  • 水…大さじ3

作り方

下準備

  • さやいんげんはへたを切り落とし、半分の長さに切る。
  • ブロッコリーは小房に分け、軸は皮をむいて1cm厚さに切る。
  • アスパラガスは根元の固い部分を切り落とし、ピーラーで 皮をむいて斜め3〜4等分に切る。
  • ズッキーニは1cm厚さの輪切りにする。
  • にんにくは半分に切って芽を除き、潰す。
  • アンチョビは粗く刻む。
  1. 鍋にオリーブオイルとにんにくを入れて中火で熱し、香りが立ったらアンチョビ、さやいんげん、ブロッコリー、タイムを加える。
  2. 塩を入れて 軽く炒め、水を加えたらフタをして、弱めの中火で3〜4分蒸し煮にする。途中2〜3回混ぜる。
  3. ズッキーニとアスパラガス、塩を加えて、さらに3〜4分加熱する。仕上げに塩、こしょうを振る。

第2弾レシピ

肉じゃが

発想の出発点はフランス・アルザスの煮込み料理「ベッコフ」。日本の家庭料理とフランスの郷土料理、その間にある共通点に惹かれて白ワインの酸味を効かせたアレンジに。「100年後も世界のどこかで作られていてほしい」そんな願いを込めた一皿。

時間をかけて火を通すことで、弱火調理の真価が見えてくる

「肉じゃがは、30分も煮ると火は通ります。でも時間をかけて弱火でじっくり煮込むと、にんじんやじゃがいもが『こんなにおいしかったんだ』と思うくらい、味が深まるんです」と平野さん。家庭料理の代表格・肉じゃがは、かつては行平鍋に落し蓋 をして、水分を飛ばしながら短時間で煮るのが一般的な作り方だった。けれど、ル・クルーゼのような厚みのある鍋が台所にある今だからこそ、素材の甘みや香りをじっくり引き出すという新しいアプローチができる。「道具が変われば、料理の仕方も変わります。ぜひ、試してみてください。本当に、おいしいと思いますよ」

使用製品

材料(4人分)

  • 豚バラ肉(かたまり)…400g
  • じゃがいも(メークイン)…中4個
  • 玉ねぎ…大1個
  • にんじん…1本
  • にんにく…1片
  • 白ワイン…200ml
  • 水…200ml
  • ローリエ…1枚
  • ローズマリー…2〜3枝
  • 塩…小さじ2
  • 砂糖…小さじ1/2
  • こしょう…少々

作り方

下準備

  • 豚肉に塩と砂糖をまぶし、ひと晩おく。3cmの厚さに切る。
  • じゃがいもは半分に切り、玉ねぎとにんじんは2cm幅に切る。
  • にんにくは芽を取り潰す。
  1. 鍋に玉ねぎ、じゃがいも、にんじんを全体の半量入れ、にんにく、豚肉をのせ、こしょうを振る。残りの野菜、ローリエ、ローズマリーを重ねる。
  2. 白ワインを注ぎ、中火で加熱する。煮立ったら水を加える。
  3. フタをして中火で加熱し、煮立ったら弱火にして、1時間半ほど煮る。オーブンを使う場合は、180℃に予熱したオーブンで1時間半加熱する。
1925
A CENTURY OF LE CREUSET