NOMI RESTAURANT
山本 遊士丸・陽之進・凛志郎
Chef
Interview
シェフインタビュー
美しい道具に囲まれて育った家で、
記憶に残る黄色い鍋。
家では“何でも手作り”が当たり前。3歳から包丁を握り、食べたいものは自分で作る。そんな環境で育ったのが、山本遊士丸さん、陽之進さん、凛志郎さんの三兄弟だ。「最初の記憶は、薪ストーブの上にかかっていた黄色いル・クルーゼ。美しい道具が多い家だったけど、あの鍋は特別でした」小中学生の頃、それぞれが好きな色を選び、ファーストル・クルーゼを手にした。「料理は、年齢の差があっても勝負できる世界。“一番おいしい料理を作った人が勝ち”というルールで、兄弟で競い合ってました」
食材にやさしく届く熱。
火の入り方ひとつで、
味は変わる
手間をかけることが、味になる。それを支えてくれる道具として、彼らの料理人生に欠かせない鋳物ホーロー鍋。「厚みのある鋳鉄が、熱をじんわり全体に巡らせてくれる。火が当たった部分だけが熱くなる鍋とはまるで違うんです」 ホーローの内側も、香りと甘みを引き出す理由のひとつ。「いい香りを変化させずに、ちゃんと残してくれる。手間をかけたぶん、素材が応えてくれる感覚があるんですよね」
大切なのは“どう作るか”。きちんと手間をかけることが、おいしさに
効率が重視される今の時代にこそ、ここぞという所には時間をかけ、良いものを作る楽しさを伝えたかった。そんな思いから、このレシピは生まれた。「にんじんを細かく刻んだり、お肉を手切りにしたり。そういう“ひと手間”があるからこそ、おいしくなるし、誰かに食べてもらったときの嬉しさも大きいんです」遺したいのは、レシピそのもの以上に、“丁寧に料理する気持ち”。「時間をかけて作ったものを“おいしい”って言ってもらえたときの喜びを、これからも大切にしていきたいと思いました」
第1弾レシピ
煮込みハンバーグ
赤身の噛みごたえ、バラ肉のとろける脂。粗く手切りで刻むことで、肉の旨みを際立たせる。塩麹と香味野菜でじっくり仕立てた煮込みハンバーグ。
使用製品
材料(4人分)
- 牛赤身肉(塊)…120g*1
- 牛バラ肉(薄切り)…60g
- 合い挽き肉…150g
- 玉ねぎ…1/2個
- にんじん…1/3本
- マッシュルーム…1個
- 塩麹…小さじ1
- 卵…1個
- 塩…4g
- パン粉…10g
- こしょう…適量
- オリーブオイル…適量
〈ソース用〉
- にんにく…1片分
- 玉ねぎ…1/2個
- マッシュルーム…4〜6個
- まいたけ…1株
- 合い挽き肉…50g
- 赤ワイン…50ml
- カットトマト…300g*2
- 水…200ml
- 塩…3g
- オリーブオイル…適量
〈付け合わせ〉
- ブロッコリー…1/2房
- 水…500ml
- 塩…5g
作り方
下準備
- 牛赤身とバラ肉を粗めに刻み、塩麹をまぶして冷蔵庫で30分ほどおく。
- にんにく、玉ねぎはみじん切りにする。ソース用の玉ねぎはくし切りにする。
- にんじんは皮をむかずに千切りにし、さらにみじん切りにする。
- ハンバーグ用のマッシュルームはみじん切りに、ソース用は半分に切る。
- まいたけは手でほぐす。
- フライパンに油を入れ中火で熱し、にんじんを炒める。水分が飛び、甘い香りが立つまでしっかりと炒めたら、玉ねぎとマッシュルームを加え、しんなりするまで炒める。バットに広げて粗熱をとる。
- ボールに合い挽き肉を入れ、塩を加えてしっかり練り、粘りを出す。
- 2.に卵とこしょう、パン粉を加えて混ぜ、冷ました1.の野菜を加えてさらに混ぜる。
- 粗めに刻んだ牛赤身とバラ肉を加え、つぶさないようにやさしく混ぜて4等分にする。手に油をなじませて成形し、空気を抜いて中央を軽くくぼませる。
- フライパンに油を入れ中火で熱し、4.のハンバーグの両面にしっかりと焼き色をつける。表面に焼き色がついたら、バットに取り出しておく。
- 鍋にオリーブオイルを入れて中火で熱し、にんにくを入れて香りが立ったら、ソース用の合い挽き肉、塩を加えて炒める。
- 合い挽き肉に火が軽く通ったら、玉ねぎ、マッシュルーム、まいたけを加えて、しんなりするまで中火で炒める 。
- 7.に赤ワインを加え、中火で3分ほど加熱してアルコールを飛ばす。カットトマト、水を加える。ふつふつと沸いてきたら5.のフライパンに残った油とハンバーグを崩さないように入れ、ソースを回しかけながら3分ほど煮る。
- フタを少しずらしてさらに15分ほど煮込む。※水分を飛ばして旨みを凝縮させる。
- 片手鍋に湯を沸かし、塩を加える。ブロッコリーを入れ、好みの硬さになったらざるに上げる。
- 器にハンバーグを盛り、ソースをかけて、付け合わせのブロッコリーを添える。
第2弾レシピ
基本の白米炊き
4歳から炊飯を続けてきた三男・凛志郎さんが、試行錯誤の末にたどり着いた炊き方。〈ココット・エブリィ〉で炊く、究極の一膳を家庭で。
鍋で炊く。それだけで、ごはんは特別になる
山で山菜を摘み、鹿や猪を自らの手で狩る。そんなふうに、自然と向き合いながら日々の食に向き合う。扱うのは“食材”である前に“命”。だからこそ、「どうすれば一番おいしく食べてもらえるか」を真剣に考える。炊飯を担う三男・凛志郎さんは、4歳から鍋炊きに親しみ、火の入り方や泡の立ち方、蒸気の抜け方まで、ひとつひとつ検証してきた。厚手の鍋で炊くとじっくり均一に火が入り、米の芯までふっくらと炊き上がる。「ごはんは日本の食の中心。お鍋で炊くのは少し特別だけど、やっぱり格別なんです」そんな“特別なごはん”が、100年後の食卓にも遺っていてほしい。
使用製品
材料(4合分)
- 米…600g
- ミネラルウォーター…705ml*1
作り方
下準備
- ピンセットで割れた米を取り除く。米の重さを測る。
※省略可。割れた米は割れ目からでんぷんが出やすく、炊きあがりの具合に影響するため、取り除くと仕上がりをコントロールしやすくなる。 -
米を洗い、たっぷりの水に浸して冷蔵庫で50分置く。
※洗うときはできるだけやさしく。最初の水はミネラルウォーターがおすすめ。2回目以降は水道水でOK。米はなるべく触らず、傷つけないようにしながら、水が澄むまで繰り返す。
- ざるに上げて水気を切り、すぐに鍋に移す。ミネラルウォーターを加え、インナーリッド、フタをして強めの中火にかける。
- 沸騰したら、強めの中火のまま4分加熱する。
※鍋底にうっすらおこげができる加減。しっかりとおこげをつけたい場合は、30秒ほど延ばす。やわらかめに仕上げたいときは、早めに火を落とす。 - 弱火にして、12分加熱する。
※最後に数秒だけ強めの中火で加熱すると香りが立つ。 - 火を止めて、フタを開けずに10分蒸らす。