無水調理鍋とは?おいしさを生む仕組みや選び方のポイントを紹介
食材の持つ水分を使って調理ができる「無水調理鍋」。幅広い調理方法に対応しており、素材本来のうまみや甘みを引き出せるメリットもあります。本記事では、無水調理鍋の仕組みやメリット・デメリット、使い方、選び方のポイントなどを解説します。無水調理鍋でつくれる料理も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
無水調理鍋とは?
無水調理鍋とは、水を使わずに素材の持つ水分を活用して調理ができる鍋のことです。気密性に優れているため、普通の鍋より少ない水分で調理ができます。
無水調理鍋の仕組み
無水調理鍋の大きな特徴は、蒸気の通り道が狭いことです。一般的な鍋はフタの隙間や蒸気口から水分が蒸発しますが、無水調理鍋は蒸気を逃しにくい構造をしているため、閉じ込めた水分を内側で対流させる設計になっています。食材の持つ水分を鍋の中に閉じ込めておけるので、余分な水を使わずに調理することが可能です。
たとえば、無水調理が可能なル・クルーゼの鍋は、気密性を保ちながらゆっくり蒸気が抜けるように設計されています。鍋の内側で発生する蒸気でゆっくり・ムラなく加熱すると食材のうまみを引き出せる温度帯(60〜75℃)を通過する時間が長くなるため、野菜は甘く、お肉は柔らかくジューシーな仕上がりになり、食材がおいしく感じられるのです。
無水調理鍋のメリット
無水調理鍋には、さまざまなメリットがあります。ここでは、無水調理鍋のメリットを3つ紹介します。
素材の栄養を逃さない
ビタミンCやビタミンB1・B2などの水溶性ビタミンは水に溶けやすい性質があります。
しかし無水調理では余分な水分を加えず、食材の持つ水分を活かして加熱するため、こうした栄養素の流出を防ぐことができます。
また栄養は高温で加熱したり、空気に触れたりすることで壊れたり酸化したりすることがありますが、蒸気でじんわり熱を入れる無水調理鍋は過度な温度変化や酸化を抑えることができます。
電気代・ガス代の節約につながる
電気代・ガス代の節約につながるのも、無水調理鍋のメリットです。その理由は2つあります。
1つ目の理由は、余熱や弱火で調理できることです。
高い蓄熱性を持つ無水調理鍋は一度温度が上がると冷めにくいため、余熱で調理することができ、火にかける時間を短くすることができます。
2つ目は無水調理の場合、水が沸騰するまでのエネルギーを大幅に削減できることです。
最低限のエネルギーで調理が可能なので、電気代・ガス代を節約しながらおいしい料理をつくることができます。
幅広い調理方法に対応できる
無水調理鍋は茹でる、煮る、炊く、蒸す、炒める、揚げるなど、幅広い調理方法に対応できます。
調理器具をたくさん所持すると管理や使い分けが大変ですが、無水調理鍋が1つあれば調理道具の数を減らせるため、収納をスッキリさせたい方は特に嬉しいポイントといえるでしょう。
無水調理鍋のデメリット
無水調理鍋はメリットが多い一方で、デメリットもあります。無水調理鍋の3つのデメリットも確認しておきましょう。
普通の鍋よりも重い
無水調理鍋は鋳物素材で製造されていることが多く、普通の鍋よりも重量があります。そのため、出し入れや盛り付け、洗い物に負担がかかり、気軽に使いにくいと感じる方もいるでしょう。
焦げ付きやすい
無水調理鍋は鋳物やホーローの特性上、焦げ付きやすいというデメリットがあります。
特に無水調理では水分の層が足りず、鍋肌と食材が直接触れて焦げ付いてしまうことも。
製品によっては鍋を油でコーティングする「シーズニング」が必要になる場合もあるので、使用方法を事前に確認しておきましょう。
本体やフタが熱くなり、火傷のおそれがある
無水調理鍋は取っ手と本体が一体化しているものが多く、調理中は取っ手も含めて高温になります。直接触れると火傷のおそれがあるため、調理時は鍋つかみを使うようにしましょう。また、フタを開けたときに吹き出す蒸気にも注意が必要です。
無水調理鍋の使い方
無水調理鍋を長く使うには、正しい使い方やお手入れの仕方を理解しておくことが大切です。
無水調理を行う際は、調理前にしっかり予熱を行いましょう。中火で1〜2分程度の予熱を行うことで、鍋に食材がくっつくのを防ぐことができます。鍋に水滴を落とすと玉状に転がる状態になるまで熱するのがポイントです。ただし、製品によっては空焚きが厳禁なものもあるため、取扱説明書をよく確認してから使用しましょう。
一方で、火力が強すぎると焦げ付きや劣化の原因になるため、強火は避け、沸騰するまで中火、基本は弱火で調理するのがおすすめです。また、熱い鍋を水で急冷したり、水につけたまま長時間放置したりすると破損や劣化の原因になるため、鍋が自然に冷めるまで待ってから洗うようにしましょう。
鍋が手で触れるくらいの温かさになったら、食器用洗剤を使ってスポンジで優しく洗います。洗ったら水気を拭き取り、しっかり乾燥させてから湿気の少ない場所に収納するようにしましょう。
無水調理鍋でどんな料理がつくれる?
先ほど紹介したように、無水調理鍋はさまざまな料理をつくることができます。 カレーやシチュー、肉じゃがといった煮込み料理はもちろん、とうもろこしやサツマイモなど野菜を蒸し煮にする料理も、無水調理鍋を使えばよりジューシーにおいしく仕上がります。
また、おいしいお米を炊くために必要な熱伝導率と蓄熱性の高さを兼ね備えた無水調理鍋は、ふっくらモチモチとしたお米が炊きあがります。具材を加えて、炊き込みご飯にするのもおすすめです。さらにプリンやケーキといったデザートもつくれるため、料理のレパートリーが増えて、毎日の調理が楽しくなるでしょう。
【素材別】無水調理鍋の種類
無水調理鍋は、製品によって素材が異なります。ここでは、無水調理鍋の代表的な4種類の素材を紹介します。
アルミ製
アルミ製無水調理鍋のメリットは、鋳物ホーロー鍋や土鍋に比べて軽量であることです。扱いやすく、安価な製品も多いので、初心者にもおすすめです。また熱伝導が早く、鍋がすぐに温まるため、時短料理にも向いています。
ただしIHに対応していない製品が多く、高温で調理したりフッ素加工がされていなかったりするものは焦げつきやすいというデメリットもあります。酸やアルカリにも弱く、腐食しやすい点にも注意が必要です。
ステンレス製
ステンレス製は酸やアルカリに強く、耐久性に優れています。サビにくく変形もしにくいので、長持ちしやすい点がメリットです。また、蓄熱性にも優れており、一度温まると冷めにくいため、カレーやシチューなどの煮込み料理をつくるのに向いています。
ただし、熱伝導性が低く、鍋が温まるまでに時間がかかる傾向にあります。また、アルミ製に比べて重量があるので、時短料理をつくりたい方や重いものが苦手な方は負担を感じるかもしれません。
鋳物ホーロー
鋳物ホーロー鍋は、高温で溶かした鉄を型に流し込み、表面をガラス質でコーティングした鍋です。サビや腐食に強く、匂いや色も移りにくいので、長持ちしやすいというメリットがあります。また蓄熱性に優れており、煮込み料理に向いている製品です。
ただし厚みや重量があるため、扱いにくいと感じる方もいます。また衝撃に弱いため、ヒビが入らないよう扱いには注意が必要です。新品はシーズニングが必要なものもあるため、事前に使用方法を確認しておきましょう。
土鍋
土鍋は主に和食に使用される鍋で、保温性に優れています。遠赤外線効果で食材がふっくらとジューシーに仕上がる点もメリットで、煮込み料理やご飯などをつくるのに向いています。
ただし、鋳物ホーロー鍋と同じく、厚みや重量があり、衝撃に弱いというデメリットがあります。落としたりぶつけたりすると破損の原因となるため、扱いには注意しましょう。使い始めは水漏れやヒビ割れなどを防ぐために、「目止め」の処理も必要です。購入後すぐ使用できるわけではないので、事前に使用方法を確認しておくことが大切です。
無水調理鍋を選ぶ際のチェックポイント
無水調理鍋は製品によって素材やサイズなどが異なり、バリエーションも豊富なため、どれを選ぶべきか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。ここでは、無水調理鍋を選ぶ際のチェックポイントを紹介します。
素材
無水調理鍋を選ぶ際は、ライフスタイルに合った素材は何か、しっかりチェックしましょう。
たとえば、時短料理ならアルミ製、お手入れのしやすさはステンレス製、料理にこだわりたいなら鋳物ホーロー鍋や土鍋というように、自身のライフスタイルやつくりたい料理などに合わせて素材を選ぶと良いでしょう。
【アルミ】
特徴
- 軽量
- 熱伝導が早い
- 蓄熱性は低い
- 焦げ付きやすい
向いている人・用途
- 毎日気軽に使いたい
- 重いものが苦手
- 時短で調理したい
【ステンレス】
特徴
- 耐久性が高い
- サビにくい
- 多層構造なら蓄熱性もあり
- 熱伝導が遅い
向いている人・用途
- 見た目も手入れの手軽さもほしい
- 手間なく無水調理を楽しみたい
【鋳物ホーロー】
特徴
- 蓄熱性が非常に高い
- サビや腐食に強い
- 重量がある
- 衝撃に弱い
向いている人・用途
- じっくり煮込んだご馳走を食べたい
- 見た目などデザイン性を重視したい
- 料理を趣味として楽しみたい
【土鍋】
特徴
- 熱がゆっくり均一に伝わる
- 保温力が高い
- 重量がある
- 衝撃に弱い
向いている人・用途
- ご飯をおいしく炊きたい
- 昔ながらの調理にこだわりたい
サイズ・容量・深さ
無水調理鍋のサイズや容量は、つくりたい料理や分量、使用するシーンなど用途に合わせて選ぶのがおすすめです。
鍋のサイズや容量に応じた人数・料理の目安は以下の通りです。
鍋のサイズ(直径)
16cm
容量の目安
約1.2~1.5L
適した人数
1人
向いている料理・シーン
- インスタントラーメン
- 少量の味噌汁や副菜
- 離乳食など少量調理
鍋のサイズ(直径)
18cm
容量の目安
約1.5~2.0L
適した人数
1〜2人
向いている料理・シーン
- スープ
- 煮物
- 炊き込みごはん(1〜2合)
- お弁当用おかずのつくり置き
鍋のサイズ(直径)
20cm
容量の目安
約2.5~3.0L
適した人数
2〜3人
向いている料理・シーン
- カレー・シチュー
- 鍋料理(小)
- ご飯3合くらいまで炊ける万能サイズ
鍋のサイズ(直径)
22cm
容量の目安
約3.5~4.0L
適した人数
3〜4人
向いている料理・シーン
- 家族用の主菜(煮込み・炒め煮)
- 炊き込みご飯、スープの大量仕込み
鍋のサイズ(直径)
24cm
容量の目安
約4.5~5.5L
適した人数
4〜6人
向いている料理・シーン
- パーティ料理
- 鍋物
- 大量のスープや煮込み
- つくり置きにも活躍
鍋のサイズ(直径)
26cm以上
容量の目安
6L以上〜
適した人数
6人以上
向いている料理・シーン
- 大人数
- 来客用
- つくり置き
- イベント向け
- 豚の角煮やチャーシューなど大物料理
収納スペースに余裕がある場合、サイズの異なる鍋を複数用意すれば多くのレパートリーに対応できます。また、多くの量をつくりたいのであれば深型、パエリアやテーブルからそのままサーブできるお鍋料理をつくりたい場合は浅型など、深さや重さにも注目して選ぶと良いでしょう。
対応熱源
無水調理鍋の対応熱源を確認することも大切です。鍋によってIHやガス火など、対応している熱源は異なるため、自宅コンロの熱源に対応しているかを事前に確認しましょう。キャンプやバーベキューなどアウトドアで使用したい場合は、直火対応の製品を選ぶのがおすすめです。
ほかにも、オーブンや電子レンジに対応している製品やオール熱源対応のものもあるので、どのようなシーンで使いたいかを明確にしておきましょう。
デザイン・カラー
無水調理鍋は一度購入したら、長く大切に使いたいものです。そのため機能面や実用性だけを重視するのではなく、デザインにもこだわると良いでしょう。
両手鍋・片手鍋など形状に加えて、カラーバリエーションが豊富な製品も多数あります。SNS映えやおしゃれさを意識したカラフルな鍋を選ぶことで、料理がより一層楽しくなるでしょう。鍋敷きを用意すればそのまま食卓に出せるので、華やかさを演出するアイテムとしても重宝します。
マリリン・モンローも愛用した鍋 ル・クルーゼの魅力とは
機能性とデザイン性の両方を重視したい方におすすめなのが、ル・クルーゼです。約100年の歴史があるル・クルーゼの鍋は機能に加えてデザインにもこだわっており、マリリン・モンローが愛用していたことでも知られています。あらゆる調理方法に対応しており、無水調理も可能です。そんなル・クルーゼの鍋を選ぶメリットを3つ紹介します。
「一生モノ」で長く使い続けられる
ル・クルーゼの鍋は高品質の原材料でつくられており、表面に施されているガラス質のコーティングは「100年鍋」と例えられるほどサビや欠けに強く、匂いや汚れがつきにくいのが特長です。製造過程では職人が手作業で関わっており、繊細なグラデーションはアートのような美しさがあります。機能性とデザイン性が両立されているからこそ「一生モノ」の鍋として長く使うことができます。
手軽にワンランク上の料理をつくれる
ル・クルーゼの鍋は、ムラなく均一に熱が伝わるため、素材のうまみ・甘みを十分に引き出し、料理をおいしく仕上げます。また、蓄熱性にも優れており、料理が冷めにくいのも嬉しいポイント。初心者でもまるでお店のようなワンランク上の料理をつくることができます。
キッチンや食卓に華やかさを演出できる
ル・クルーゼの鍋はカラーバリエーションが豊富なため、自分の好みやインテリアに合わせてデザインを選ぶことができます。そのままテーブルに並べても華やかさを演出でき、食事の時間が楽しくなるようなスタイリングが可能です。
まとめ
無水調理鍋は余分な水分を使わないため、素材本来のうまみを引き出し、料理がおいしく仕上がります。素材やサイズによって性質や向いている料理は異なるので、自分のライフスタイルに合った鍋を見つけましょう。
品質とデザイン性を重視するなら、ル・クルーゼがおすすめです。ル・クルーゼの鍋は耐久性に優れているため、「一生モノの鍋」として愛用できます。デザインにもこだわっており、毎日の暮らしを楽しく彩るアイテムとしても重宝します。季節やイベントに合わせたシーズナルカラーなども発表しているので、料理や季節、気分に合わせてカラーを選ぶ楽しさも醍醐味の一つです。ル・クルーゼで、ぜひお気に入りの鍋を見つけてみてください。