いい日を、もっと。ル・クルーゼ


すっきりと晴れた週末の午後。今日は、母の日。



「お母さん、ただいま」

ドアを開けると、スパイスの香りが玄関まで漂ってきた。


母のスパイスカレーは私の大好物。食べる前からワクワクしてしまう。

「隠し味がなにか分かるかしら」と、母がいたずらっぽく笑って彼に言う。



光が差し込む部屋で、私たちはお腹いっぱい食べた。

私はすっかり満たされて、それはそれは幸せな気持ちになれた。



「デザートにケーキを焼くから」と私が言うと、

母は、ぱっと顔を輝かせ、「それは楽しみだわ」とにっこりした。

ドキドキしながらオーブンをのぞき込むなんて、いつぶりだろう。


ケーキを仕上げているあいだ、彼はお花を花瓶に生けている。

「実はフラワーアレンジを少し勉強したんだ」と小声で彼が教えてくれた。



お花も花瓶も、ふたりで選んだプレゼント。「お母さん、いつもありがとう」

「すごい、すごい」と母は喜んで、嬉しそうに笑った。






そうそう、と母が思い出したように立ち上がり、お茶の用意をはじめた。


「おいしいのがあるの」 「体がすごく温まるのよ。ほら、あなた冷え性でしょう」

と言いながらティーポットにお湯を注ぐ。


並べられたカップには見覚えがなかった。 「このカップ、前から持ってた?」

そう訊くと母は微笑んで、今日は母の日だけど、と言う。

「私も、ふたりにプレゼントしたくて用意したの」 日ごろの感謝を込めて、と母。



「いつも気にかけてくれて、ふたりともありがとう」




「さあ、いただきましょうか」

晴れやかな笑顔で母が言い、いただきます、と私と彼の声が重なる。


ケーキの甘い香りと、温かくて、おいしいお茶。 かわいく飾られた花たち。

「母の日って、なんだかいいものですね」

しみじみと言う彼の姿が可笑しくて、みんなで笑った。



おだやかで、ウキウキと、なんて、すてきな休日。



いい日をもっと。ル・クルーゼ